今はバングラデシュ第二の都市でこの国最大の港湾都市、チッタゴンに滞在していて、チッタゴン近辺のサイトを回っているんだけど、目立つのが軍隊の多さ。
山の方 (Chittagong Hill Tract と呼ぶらしい) に行くと、かなりの頻度で道路沿いにミリタリー・ポストがあって、武装した兵隊やボーダー・パトロールが詰めている。車を止められるということはないんだけど、彼らはかなり鋭い視線で通り過ぎる僕の方を見てくるよ。まぁ、普通の人たちも、東アジア人が珍しいのか、車で通り過ぎる僕の顔を凝視するんだよね。なんでそんなに見るの、っていうぐらい。友好的ではない鋭い視線でね。
チッタゴンの丘陵地帯は治安が良くないそうで、山賊に誘拐されて身代金を請求されたりするそうなので、日が落ちる前には丘陵地帯を脱出した方が良いみたい。なので上のような夕日の写真は撮れない(上の写真はバングラデシュの他の地方で撮ったもの)。そういう話を聞くと、ミリタリー・ポストの多さにも納得する。
チッタゴン管区の南部の方、コックス・バザールのさらに南の地域では夜間外出が禁止されていると、ダッカにいる時に聞いていたんだけど、安全を考えると北部でも日没前には丘陵地帯から出た方が良いみたいだね。
まぁ、身代金目当ての誘拐が起きたり、兵隊さんが沢山いたりするのには、ちゃんとした理由があるみたいで、どうやらそれはチッタゴンの丘陵地帯に住む少数民族が関係しているみたい。
実際、丘陵地帯を走っていると、明らかにベンガル人ではない顔にかなりの頻度で出くわす。中国系の顔立ちというか、色は黒いけど見た瞬間に、「なんでこの手の顔がこんなところにいるの?」と思ってしまうような親近感を感じる顔かな?
丘陵地帯では民族の違いだけじゃなくて、宗教の違いも顕著に目にする。ストゥーパと呼ばれる仏塔、それもかなり大きなものが丘のてっぺんに立っていたり、大仏と呼んでもいいサイズの仏像が道路沿いに座っていたり、スリランカで頻繁に見た仏教の五色の旗が立っていたり、オレンジの衣を着た僧侶がかなりの頻度で道を歩いていたり。それに仏教徒だけじゃなくてヒンズー教徒も相当多いみたい。
チッタゴン丘陵には、異なる民族と宗教が隣り合って生活している、という印象を受けた。友好的な共存ならいいけど、9月の末にチッタゴン管区の南部、ラムの街で起きた仏教寺院焼き討ち事件が示唆するように、決して友好的とは言えないみたい。仏教寺院や仏教徒の家が焼き討ちされるのは今年の9月が初めてではないみたいだし、少数民族問題はパキスタンとしてイギリスから独立した時から延々と続いているみたい。チッタゴン丘陵におけるベンガル人と少数民族の関係は、イスラエルとパレスチナの関係にも似ているかも?
お隣のビルマではごく最近、イスラム教徒のロヒンギャに対する弾圧がニュースになっていたし、アラカン山脈からチッタゴン丘陵にかけての地帯は、かなりややこしい地域のようです。
丘陵地帯だけじゃなくて平地の方にも出かけたんだけど、その時に驚いたのは軍事訓練が幹線国道沿いで行われていたこと。交通も遮断せずに、一般人も普通に、しかもバングラデシュだからたくさん歩いているなかで。
上の写真のような道路、写真は別の地方の道路だけど、対向二車線の幹線道路を走っていると大きめの爆竹が鳴るような音がして、何かと思っていたら、僕の車のすぐそばの路肩で、兵隊さんが機関銃を発砲していたよ。
もちろん、状況からして空砲なんだけど、かなり驚いたよ。どうやら、路側を行軍してくる新兵部隊を待ち伏せ攻撃していたみたい。その訓練のすぐわきを一般車両が走り抜け、ローカルの人々が行き来したり、買い物したりしているわけで、まったく日本ではありえない光景でした。
チッタゴン丘陵の写真を Flickr にアップしたけど、軍事訓練とかミリタリー・ポストの写真とかはないんだよね。その手の写真撮ってややこしくなるのは嫌だからね。
今回の写真は Lumix G X Vario 12-35mm + OM-D E-M5 で撮ったもの。
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