バングラデシュにはハルタル (hartal) と呼ばれるストライキがあるってことを、こちらに来て初めて知った。
ハルタルになると車がほとんど走らなくなるので、上の写真のように道路がリキシャ専用道になる。でも車が使えないとサイトに行けないのでお仕事が上がったりになってしまう。
野党とその支持者が道路を封鎖して市民生活や経済活動を混乱させ、政府に要求を認めさせようというのがハルタルだと思っていたのだけど、この国では与党の支持者もハルタルをするみたい。何でも野党側がハルタルを実施したその報復というのが理由みたい。際限がないよね。
野党の要求も最初は選挙管理内閣の設置とか戦争犯罪人裁判の停止(野党の指導者が独立戦争時の戦争犯罪で訴えられている。何でも非ムスリムを虐殺したとかなんとか。現時点で最終弁論が終わって判決待ち)を訴えていたんだけど、途中からハルタルに絡む暴動の首謀者として逮捕された党幹部の釈放なども要求し始めて、今では「当局がそんな要求飲むわけないじゃん」という状態になっている。おかげで、最近は平日のうち二日から三日に一度はハルタルが実施されるという、仕事にならない状態が続いている。
ハルタルは日の出から夕暮れまでの全日ストの場合と、日の出から14:00までの半日ストの場合があるのだけど、道路封鎖だけで平和裏に済むことは少なく、しばしば暴動が発生しているそうだ。車やバスに放火する事件もよくある事のようで、ダッカでよく見かける二階建てバスが放火されて焼け落ちた写真を見た時は、「エライところに来てしまったなぁ」と、今さらながらに危機感を感じたよ。来てしまったものは仕方がないけどね。
車やバスの焼き討ちだけじゃなくて、反対勢力に対する暴力行為も頻繁に起きているみたいで、人違いで殺されてしまった若者の記事が新聞に載っていたりする。これってかなり不安定な社会情勢なのかな?と思うのだが、ハルタル中は安全のためにホテルにこもっているのであまり実感が湧かない。ハルタルになると人出が減るので、普段は安全な高級住宅街の通りでもひったくり強盗が発生するなど、治安は悪化する傾向にあるらしい。やっぱり無暗に出歩かない方が良いみたい。
ハルタルの日には移動が出来ないから、ハルタルでない日にみんなが移動しようとする。そのおかげでただでさえひどいダッカの渋滞が、昨今はさらにとんでもないことになっている。総選挙は来年らしいから、それまでこの非生産的なハルタルの応酬が続くのかと思うと、先が思いやられるというのが正直な感想。
最近は「ネクスト・チャイナ」と呼ばれて、日本では盛り上がっているバングラデシュだけど、カントリー・リスクはやっぱりありまっせ、という所。まぁリスクのない国はないけど、インドやタイに挟まれる地理的環境で今まで伸びてこなかったのには、やはり理由があると考えるのが妥当だろうね。
写真は Lumix G X Vario 12-35mm + OM-D E-M5 で撮ったもの。
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